日常的におむつで排泄している子が生理になったら、生理期間中はおむつとナプキン、どっちを使ったらいいんだろう…?
10年ほど前になりますが、バリアフリー展で排泄ケアの相談員をしていた時、
養護学校の職員さんからこのような相談を受けました。
「学校に通う脳性麻痺の女の子が、初潮を迎えました。普段おむつを使っているのですが、この場合、生理用ナプキンと尿取りパッド、どちらを使えば良いのでしょうか?」
当時の私は高齢者施設でしか働いた経験がなく、この質問には答えられませんでした。
代わりにそばにいた作業療法士の学校の理事長先生が答えて下さいました。
私はそれを必死でメモを取りました。
今回は当時のそのメモを参考にしつつ、尿と経血両方の場合のケアについて、書いていきたいと思います。
1.基礎知識・生理用ナプキンと尿取りパッド
障害を持つ女の子へのケアの話の前に、まずは
・生理用ナプキンは尿取りパッドの代用は出来るのか?
・月経は尿取りパッドでも吸収するのか?
この2つをおさらいしましょう。
1.生理用ナプキンは尿取りパッドの代用が出来るのか
先に言ってしまいますが、答えは「代用できない」です。
生理用ナプキンで尿取りパッドの代用はできません。
それについては以前書いたこちらの記事を参考にして下さい↓
2・尿取りパッドは生理用ナプキンの代用が出来るのか
生理用ナプキンでは尿を吸収できない(ちょいモレ程度なら可)けど、
逆に尿取りパッドなら、経血を吸収できるんじゃないのかな?
経血だけなら、尿取りパッドでも対応が出来ます。
しかし経血と尿どちらも、となると話は変わってくるのです。
サラッとした水のような尿と、ドロッとした経血。
尿取りパッドの表面を、ドロッとした経血が覆ってしまうと、
その後の排尿は吸収される隙間がなく、逃げ道がなく、溢れ出てモレてしまうのです。
ですので経血と尿どちらも、の場合は、尿取りパッドでは対応しきれません。
2.ケア方法・3パターン
普段おむつを使用している障害を持つ女性の、生理の時のケア用品選びとケア方法には、
- 軟便に対応したパッドを使用する
- 大きい尿取りパッドの上に、小さい生理用ナプキンを置く
- 尿取りパッドを使用し、こまめに交換する
の3つを提案したいと思います。
①軟便に対応したパッドを使用する
軟便時に使用するパッドという物があります。
軟便、特に下剤に頼っている方が排出する便は、水様便になる事が多いのですが、そういう方に特化した作りになっています。
こちらの記事も参考になさって下さい↓
1・軟便に特化したパッド
●アテント お肌安心パッド 軟便モレも防ぐ
1層目が「軟便吸収シート」、
2層目が「クッションろ過シート」、
3層目が「超吸収体」
となっています。この構造により、ドロッとした便は上でとどまり、尿や水分は下に流れる仕組みとなっているのです。
2・軟便に対応している両面吸収パッド
軟便に対応している「両面吸収パッド」という物があります。
これを使えば、お手持ちの尿取りパッドの上に乗せて使うだけなので、経済的です。
両面吸収パッドは各メーカーが出しているのですが、「軟便」に対応しているのは、私が調べた限りでは、
- リブドゥコーポレーションの「軟便モレを防ぐシート」
- 花王リリーフの「重ねて安心シート(補助パッド)」
- カミ商事いちばんの「両面さらさらマルチパッド」
の3つだけです。
●両面吸収パッド早見表 調べて表にまとめた物です↓
※2017年12月時点
②尿取りパッドの上に、生理用ナプキンを置く
これは知人のおむつメーカーのケアコンシェルジュから聞いたやり方です。
彼女は排泄ケアのエキスパートとして、日々日本全国の病院や施設を回っているのですが、
障害女児の生理の際の排泄ケアにも取り組んだ事があるそうです。
関西のある養護学校で、先生達と試行錯誤の末、生みだした方法が
「尿取りパッドの上に、小さめの生理用ナプキンを乗せる」やり方だったそうです。
絵にしてみました…↓
これなら、経血はナプキンに吸収されて、尿はパッドの方に吸収されていくんだよ
ほおぉ…なるほど。これなら尿も経血もどちらにも対応できるんですね…
ちなみにコンシェルジュいわく、
・尿取りパッドだけだと経血でパッドの表面の目を潰して尿が吸収されにくくなる
・両面吸収パッドでもベタッとしてしまう
との事でした。
え!じゃあ上で紹介している①軟便に対応している両面吸収パッドを使う、もダメなやつじゃん…
③尿取りパッドでこまめに交換する
通常と同じ様に尿取りパッドを使用し、それを普段よりこまめに交換する、という方法です。
それが出来れば始めからしてるよ!って怒られるかもしれませんが…(^-^;
結局、肌に血も尿も密着していたら、弱酸性でなくてアルカリ性の状態なので、肌には良くありません。それは尿だけでも、経血だけでも同じ事ですが。
ですので生理期間中は普段より、出来るだけこまめに交換してきれいに洗い流してあげましょう。
提案:生理の終わりかけには使い切りビデを使用してはどうか
これは自分が個人で使う分には問題ないのですが、果たして介助で、相手の膣に挿入して、という行為が、どのへんまで許されているのかわからないので、小声で提案をさせて頂きますね…。
おそらく母親か看護師ならOKかも…
生理の終わりかけの残留経血を、パッド交換毎にしっかり洗い流せたら、生理も早く終わらせる事が出来ます。ですのでこういうのを利用するのも良いのではと思い、提案だけさせて頂きます。
●プチシャワー セペ
引用 プチシャワー セペ
サイトにも書いてありますが、「膣内洗浄」は欧米では当たり前なのだそうです。
知らんかった…
●オカモトクリーンシャワー
引用 オカモトクリーンシャワー
3.番外編:最近の生理用ナプキン
さてここからは番外編として、変わり種の生理用ナプキンを紹介します(/・ω・)/
●花王ロリエ「朝までブロック安心ショーツタイプ」
パンツ型のナプキンです。
私が以前障害者支援で関わっていた、軽度の脳性麻痺の女性(40代)は生理期間中はこちらを使用していました。
趣味で車いすバスケをされているアクティブな方でしたので、パッドだとズレるしヨレるけど、パンツ一体型であればその心配もなくなり、重宝しているとの事でした。
でもこれ、「M~Lサイズ」の1サイズしかないね…
(ウエスト:64~77cm ヒップ:87~100cm)
●大王製紙エリエール エリス「朝まで超安心クリニクス」
この商品、キーワードが並んでいて、パッケージがわかりやすくて良いなぁと思いました。
- 過多月経の経血トラブルに
- 粘度が高い
- 大量に出る
- 急にドッと出る
- 夜用ナプキン5枚分の吸収力
形や柄にこだわったおしゃれな商品も最近は多く出ていますが、こういう悩みに対応出来る商品も、今後は増えていくと良いですね。
●ユニ・チャーム ソフィ シンクロフィット
「ナプキンにプラスする新習慣ナプキン」と謳い文句にはあります。
↑2013年に改良とあるので、もっと以前から発売されていたようです…スミマセン私はこの商品は知らなかったのですが、調べてみると
「スリムナプキンではモレに対し不安」な時に「お手持ちの生理用ナプキンの上に乗せるだけで良い」というのが売りのようです。
しかも「使用後はトイレに流せる」って凄いですね。
タンポンと違い、外側に付ける物だから安心感もあります。
結論
ケア方法を3パターンご紹介しましたが、私のおすすめは2番目の「尿取りパッドの上に、小さい生理用ナプキンを置く」です。
なるほど理にかなっているし、ケアする側も簡単で良いと思います。
しかし重ね使いや圧迫感による皮膚への負担が出てくると思うので、やはりこまめに替えて上げるのが一番だと思います。
この記事の冒頭で紹介した、私の代わりに質問に答えて下さった理事長先生は、
「でもね、たったひと月に一回の事よ!こんなの」
「暗くなりなさんな!楽しみましょう!笑って行きましょう!!」
と仰ってました。
ケアする私達は、こんな風に賢く、明るく、前向きでないといけないなぁと気付かせてくれる言葉でした。
今回は以上です。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
コメント
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