職場の人達、テープ式おむつの当て方が
全員ばらばらなんだけど…
それぞれが独自のやり方をしてしまってるんやろなぁ…
介護施設でおむつ交換をしていると、「あ、これは〇〇さんが当てたな」とわかる事があります。
割と個性が出るものなのです。
そして同じ施設で働いているのに、同じおむつの勉強会にも参加しているのに、どういうわけだかおむつの技術は統一されないのです。
メーカー側も努力をしており、「ポイント4つ」とわかりやすく動画などで説明もしてくれています。しかしおむつメーカーはたくさんあり、それぞれが似ているようで少しずつ違う事を言っており、混乱する方はおられると思います。
今回は、テープ式おむつの当て方についてまとめました。
忙しい方は一番最後の漫画だけでも見て行って下さい。
でも見終わったら、一から記事を読んで理解を深めて下さい。
決して漫画だけ読んで理解した気にならないように。
※表題は「テープ式おむつの付け方」としていますが、記事内では「当て方」と言っています。ご了承下さい。
1.テープ式おむつの付け方・ポイント
テープ式おむつを付ける際に、ポイントがたくさんあります。
メーカーによっても様々です。良ければこちらの記事もご覧下さい↓
今まで勉強会で学んできた事や、メーカーさんの動画を参考に、
- 袋から出したら、広げて空気を含ませる ※振らない
- 腰の位置を確認してテープ式とパッドをセットする
- パッドの位置の確認(尿道口の位置とその人の厚みを確認)
- テープ式のギャザーの中にパッドを入れる(背中側)
- 両端のテープの位置を確認
- パッドの位置を確認(パッドのセンターが体の中心にきているか)
- テープ式とパッドを下に引き、後ろのシワを伸ばす
- 装着する(ギャザーを持つ・山折り・谷折り・つまみ)
- 皮膚・肉をおむつの外へ逃がす
- テープ式のギャザーの中にパッドを入れる(お腹側)
- テープを留める
- 最後の確認
上記 12のポイントにまとめました。
1・袋から出したら、広げて空気を含ませる ※振らない
袋に圧縮された状態でおむつは入っています。
袋から出した状態のままだと、おむつはぺちゃんこです。
使う前に、まずは広げて、おむつの中に空気を入れ、おむつを柔らかくしましょう。
平面に畳んだままの紙おむつは硬いので皮膚を傷めやすいです。
パッドを広げて伸ばして柔らかく、立体にする事で、人の体のカーブにも沿いますし、
そうする事で吸収力も高まります(本来のキャパシティ(吸収面積)を取り戻せる)。
注意★おむつは振ってはいけません
引用 カミ商事 テープ止めタイプ・尿とりパッドタイプの装着方法
この際パッドの端を持って振り回すと吸収体がよれてしまい、漏れの原因につながるので注意してください。(日本製紙クレシア)
引用 アクティ® 尿とりパッドとテープ止め 組み合わせ装着のポイント「小さいパッドを使用する場合」篇
でもさ…
夜間のおむつ交換の時とか、端から順に一気に30人くらいおむつ交換していくと、途中で手がだるくなってつい振って広げてしまうよね…
ちなみに私が以前勤めていた特養のベテラン職員さんは、自分の太ももにパッドをパーンッと打ち付けてその衝撃で広げていました…。
2・腰の位置を確認してテープ式とパッドをセットする
「テープ式おむつの背中側の端は、腰の高さに合わせる」とわかっていても、
たまにどこが腰かわからない方もいらっしゃいます。
その際は、側臥位になって頂きましょう。重力で肉が下に落ち、くぼんだ所が腰です。
その高さの所へテープ式を合わせましょう。
すでにテープ式おむつを着けている状態からのおむつ交換なら、
同じ位置に合わせれば良いんだけどね。
あとはちょっと位置がずれていたなら微調整をする程度。
晩だけテープ式を着ける人もいると思うので、
腰の位置を探す場合は参考にして下さい。
文字では伝わりにくいと思うので
いつかまた漫画にします。多分
3・パッドの位置の確認(尿道口の位置とその人の厚みを確認)
片方が幅広い尿取りパッドを使う場合、メーカーや介護の本には
「女性の場合幅広い方を後ろ側に、男性の場合幅広い方を前側に当てましょう」
と書かれている事が多いですが、女性でも尿道口が前側にある方もおられますし、男性でもペニスを下向きに仕舞う方もおられるので、人それぞれです。
また、体の厚み(太っている・痩せている)によってもパッドの位置は考えた方が良いので、
それぞれご本人に合わせた位置に、パッドを置きましょう。
4・テープ式のギャザーの中にパッドを入れる(背中側)
ズレを防止するためにも、必ずパッドはテープ式のギャザーの中に入れましょう。
ギャザーの中に収まらないくらい大きいパッドの場合は、上に置くだけでもOKです。
5・両端のテープの位置を確認
体を仰向けに戻してもらい、まずお腹側にテープを持って来て、長さの確認をします。
正中中心(体の真ん中)から右と左のテープの長さが一緒でないと、最後にテープで留める時に曲がってしまいます。
毎回左右のテープの長さが同じかどうかを確認し、どちらかが長い場合は、同じ長さになるようにこの時点で調整しておきましょう。
6・パッドの位置を確認(パッドのセンターが体の中心にきているか)
パッドも同様です。
例えばパッドが体の中心からずれて、左右どちらかのギャザーの上に体の中心があると、
ギャザーから外側は撥水加工なので、水(尿)を弾いてしまいます。
ギャザーが尿道口に当たっていたら、吸収しません。
そうすると、パッドは真っ白できれいなのに、テープ式や衣類やシーツがびしょびしょという謎な状態になってしまいます。
あるある…
パッドの中心が体の中心にきているかを確認しましょう。
でも、片麻痺の人とか、テレビを観るのに半側臥位の姿勢で過ごす事が多いなどの場合は、
その体の傾きに合わせて、若干多めにパッドを寄せても良いでしょう。
7・テープ式とパッドを下に引き、後ろのシワを伸ばす
早くパッドを当てたいところですが、まだ注意点があります。
シワシワのおむつの上に体を乗せただけの状態なので、一度、背中側のおむつのシワを伸ばしておく必要があります。
最後に伸ばすのでも良いですが、この段階で伸ばしておきましょう。
シワをそのままにすると、隙間が出来てモレやすくなりますし、シワの上に皮膚が当たっていると、シワのデコボコした圧迫で皮膚を傷めてしまいます。
体はつるんとしたおむつの上に乗せてあげて下さい。
「引く」と「引っ張る」の違いがわからない方もおられると思いますが、
引っ張らずに「引く」ようにお願いします。
8・装着する(ギャザーを持つ・山折り・谷折り・つまみ)
さあ、やっとおむつの装着です。
おむつをしている方の内股は、一日に何回もオムツ交換をするので、
擦れてしまい、痛みが出る事もあるようです。
パッド交換の際は、内股に当てないように気を付けてあげて下さい。
メーカーによって
- ギャザーを持つ
- パッドを山折りにする
- パッドを谷折りにする
- つまんで当てる
と推奨する当て方が違いますので、ここではその4通りを紹介します。
ギャザーを持つ
●ギャザーを持って当てるメーカー:花王・光洋・リブドゥコーポレーション(従来品)
尿取りパッドの立体ギャザーは尿や軟便をせき止める役割をしており、ここが寝ていると漏れの原因になります。(花王)
山折りにする
●山折りにして当てるメーカー:ユニ・チャーム・アテント・ネピア(女性)
- 山折りにした後股の間から引き上げパットの吸収体を隙間なく尿道口に近づけます(ネピア)
- 山折りにすることで股間があまり開かない方でもパットが通りやすくなり、しっかりと当てることができます(アテント)
引用 ユニ・チャーム ライフリーおむつのあて方「テープ止めタイプと尿取りパッドのあて方」
谷折りにする
●谷折りにして当てるメーカー:日本製紙クレシア・リブドゥコーポレーション(スマートラインシリーズ)・ネピア(男性)
パットを縦半分に折り左右に振りながら引き上げることで鼠径部にしっかりと入り込み、きちんと密着されます。(アクティ)
引用 アクティ® 尿とりパッドとテープ止め 組み合わせ装着のポイント「小さいパッドを使用する場合」篇
つまむ
●つまんで当てるメーカー:白十字サルバ
白十字サルバの動画では
「山折りにして当てたり、広く持って当ててしまうと、ギャザーが立ちにくく、横漏れにつながりやすくなります」
って言ってるね
山折りを推奨している他のメーカーはどうなるんだろう…
★実際につまんでみました↓
おお!
確かにこれなら、ギャザーは鼠径部に当たるし、
ちゃんと尿道口にも当たるし、
ギャザーも潰さないし、
しっかり吸収しそうだ。
以上4つのあて方を紹介しましたが、基本的には、
ギャザーがしっかり立っていて、鼠径部に沿って当たっていればそれで充分です。
9・皮膚・肉をおむつの外へ逃がす
気付きにくい事ですが、パッド、テープ式を当てる際に、一緒に内股の皮膚や肉までパッドの中に挟んでしまっています。
特に普段歩かない、寝たきりの方の太ももはたるんでいるので、巻き込みやすく、おむつの中に隙間が出来てしまい、モレに繋がります。
おむつを当てる際は必ず、足の皮膚や肉を外に逃がすようにして下さい。
- 当てる際、鼠径部の皮膚を手で軽く押さえながら皮膚がパットの内側に入らないよう鼠径部に沿わせます。(ネピア)
- テープを止める前に足回りを軽く持ち上げるようにするとよりフィットして 漏れにくくなります(アテント)
- パットの立体ギャザーをもち、皮膚をよけるようにして 鼠径に沿わせ左右ともに当てます。(光洋)
パッドを当ててから肉を外に逃がすのも良いですが、パッドを当てながら一緒に肉を外に逃がした方が時間もかからず、効率が良いと思います。
引用 王子製紙ネピア テープタイプとパッドのあて方「女性の方向け」
10・テープ式のギャザーの中にパッドを入れる(お腹側)
ズレを防止するためにも、お腹側も、パッドはテープ式のギャザーの中に入れましょう。
お腹側のギャザーにも忘れずにパットを入れ込みます(アテント)
11・テープの当て方(上・下)
おむつの当て方の上手い下手が一番わかるのが「テープの留め方」です。
ここで全てわかります。つまりズボンを下ろして一瞬でバレます。
でもたまに上手く留めて見える風な人もいて、開けてみて残念な事もあるのです。
テープ式おむつのテープ部分は、パッドがずれないうちに、下側から留めて行きます。
右下の次に右上を留めてしまうと、右側にばかり引っ張られて力の加減が変わってしまうので、まずは下の右左を留めて、そのあと上の右左を留めるようにしましょう。
テープの留め方(下)
下側のテープは真っすぐ横に留めてしまうと、股関節の動きを阻害してしまうため、
下から斜め上へ向かって留めて下さい。
斜め上に引っ張るのではなく、体のカーブに沿わすようにして斜め上へ持ち上げて、
止まった所でテープを留めて下さい。
テープの留め方(上)
上側のテープも、真っすぐに横に留めてしまうと、座った時に腹部が苦しくなり、また体にフィットしない為に脱げてしまいます。
上側のテープは腸骨に引っ掛けるようにして、斜め下に向かって、体の傾斜に沿って留めて下さい。
仕上がりはこんな感じで、テープがクロスした感じになります。
たまに「クロスに当てればいいんでしょ?」と知ったかぶる方もおられるのですが、
ここまで説明した通り、クロスに留めれば良いのではありません。結果としてクロスになっているだけです。
形だけクロスに留めてしまうと、ポイントを押さえていない、ちぐはぐな形になり、隙間が出来てモレてしまいます。
「クロスに留めたのにモレた」という事になりかねませんので、
決して形だけで覚えず、ポイントを理解して留めて下さい。
12・最後の確認
テープを留めて終了ではなく、最後に確認する事があります。
- 後ろにしわが出来てないか(もこもこしてないか)
- パッドがテープ式からはみ出ていないか
- センターラインと体の中心が合っているか
を確認してください。そして最後に、ご本人に気持ち悪いところはないかを聞いて、
問題がなければそれで終了です。
2.まとめ★まんが
3.無料ダウンロード
上の漫画を無料でダウンロード出来るようにしました。
①まずはそのまんま8ページのバージョン→tape shiki
②両面印刷してそのまま冊子にして頂けるバージョン(両面・右綴じ)→tape shiki 1
両面で、長辺とじで印刷します。
↑このようになります( *´艸`)
③両面印刷してそのまま冊子にして頂けるバージョン(両面・中綴じ)→tape shiki 2
どうぞ、勉強会や研修などでお使い下さい。
結論
テープ式のあて方は単純なようでいて押さえるべきポイントはとても多いです。
しかもこれを全て覚えたところで、やっぱり、モレる事があるのです。
モレた要因は何なのか、ご本人なのか、介助者側の技術なのか、環境なのか、そのたびに分析をして試行錯誤を繰り返すうちに精度は上がっていくと思います。
ここまで読んで下さいまして、ありがとうございました。
コメント