おむつをトイレに詰まらせてしまう人、どうしたら良いだろう…
うちの団地でもよく詰まらせる人いるみたいだねー
介護現場にいると、割と経験した人はおられると思います。
トイレの便器内に浮かぶ、まん丸い物体…。
それが水分をたっぷり含んだ尿取りパッドだなんて、素人にはすぐには理解できませんね。
この記事では、今までの私の体験と、対策を紹介したいと思います。
1.トイレにおむつを流す人々
トイレにおむつを流す人々について、私が出会った方のお話をしたいと思います。
1.トイレにおむつを流す人々
以前私が住んでいた所の掲示板に、このような物が貼られていました。
「トイレに「トイレットペーパー以外の物」を絶対に流さないで下さい!」
と強い語気で書かれています。
続けて調査の結果、原因は「オムツ等」によるトイレ排水管の詰まりと判明しました。
とも書かれています。
この団地は朝になるとデイサービスの車がよく停まっていたので、お年寄りが多く住んでいるようでした。
もしかしたら認知症の方も中にはおられたのかもしれません。
以前私が在宅ヘルパーをしていた時に、トイレにおむつを流してしまった方が2人おられました。
2人共、重度の認知症の方でした。
2.団地のトイレを詰まらせて階下を水浸しにした人
この方は男性で、団地の4階在住。紙パンツと尿取りパッドを使用していました。
ある日ケアマネさんからSOSがあり、事業所で手の空いているヘルパー総動員でその団地に駆け付けると、既に団地の階段から尿臭が立ち込めていました。
4階に着くと、部屋の中は特に異変はなく、問題はその下の、3階の家でした。
その家の住人(独居のおじさん)に挨拶をして、おそるおそる入ると、雨漏りのように天井からあちこちぽたぽたと茶色い水滴が落ちていました。
それも、押し入れやキッチンなど、あちこちから。
私達はバケツや衣装ケース、タオルなどを大量に持ち込み、あちこちに置きました。
それをする間もどんどん天井から降ってくるので体中に浴びて、夏の暑い夕方に、私達は汗と尿でべたべたで臭くなり、目もシバシバして痛くなりました。
3階の住人は、気の優しそうな大人しい方で、文句も言わず、ただただ困っておられるのが気の毒でした。
これは4階に住む認知症男性が、パッドをトイレに流してしまい、排水管が詰まった事で起きた事でした。
実はそれまでにも何度か未遂(便器内にパッドを落としているが流していなかった)はありましたが、とうとう詰まらせてしまったのでした。
その日から便器の水道の元栓を閉める事で対応されましたが、その男性は1か月後に特養入居となりました。
排水管工事、階下の住人へのお見舞金や家具や壁紙等の弁償代は、その認知症男性の親類が支払ったと聞いています。
●水道トラブルの業者さん
水道トラブルに駆けつけてくれる業者のテレビCMはよく見ますし、ポストにも薄いマグネット付きの広告がよく入っていますよね。
ですが、いざとなった時にあれらを思い出せるでしょうか。
2・トイレのつまりにお悩みの方は、水道救急センターにおまかせ!
3・☆即日対応☆ 給排水ポンプの故障・交換・修理ならすぐに駆けつけます。
早く来てくれて、土日祝日、夜中も来てくれて、払いやすい料金だと良いですよね。
3.尿取りパッドを便器内で手洗いしてしまう人
もう一人は女性でした。団地の1階に住んでおられました。
この方もパッドを便器内に捨ててしまう方でした。
便器内でパンパンに膨らんだパッドをヘルパーが回収する事は何度もありましたが、その女性はトイレを流さなかったので、排水管が詰まる事はありませんでした。(一応元栓は閉める対応をとっていました)
ある日私が行くと、その女性はトイレの床に座り込んでいました。
便器内に両手を入れ、何かをすくっては、横に置かれたトイレブラシの容器に入れていました。
何をすくっているのかな?とよく見ると、どろどろのポリマーの粒でした。
便器内には尿取りパッドの残骸が浮かんでいました。
どうやら便器内で尿取りパッドを洗っているうちに、破けてしまったようでした。
その後も尿取りパッドや紙パンツをびりびりに破いている事が何度かあり、
紙のおむつは中止となりました。
代わりに吸収体の付いた布のパンツを購入する事で対応としましたが、この女性も1か月の間に施設入居となりました。
2.トイレにおむつを流させない方法6つ
上の体験談の中にもいくつか載せましたが、トイレにおむつを流させない方法として、以下を提案したいと思います。
- (出来るなら)トイレ誘導をこまめに行う
- トイレの元栓を閉める
- トイレにゴミ箱を設置する
- 尿取りパッドはやめて、紙パンツのみにする
- おむつは布製品にする
- トイレを封じ、代わりにポータブルトイレを設置する
この6つです。
①(出来れば)トイレ誘導をこまめに行う
そんな事出来たら始めからしてるし
というお叱りや呆れ声が聞こえてきそうですが、そうですね、難しいと思います。
トイレ誘導をこまめに行う事は人員の少ない施設では現実的ではないですし、在宅であっても隣にいてずっと監視しているのは難しいと思います。
でももし出来るなら、適宜トイレにお誘いして、しっかり便器内に排泄してもらえれば、
パッドを便器内に捨てる事を未然に防げるでしょうし、尿取りパッド自体が必要でなくなるかもしれません。
また、排尿チャートを3日間つけ、その人の排泄パターンがしっかりわかれば、介助側の無駄な動きを省けて、ピンポイントで介助が出来るかもしれません。
②トイレの止水栓を閉める
上の団地のトイレを詰まらせた男性の例では、元栓を閉める事で対応が出来ました。
ヘルパーが毎回訪問時にトイレを確認し、止水栓を開栓、流して洗浄、掃除を行い、退室する時に再び閉めておくのです。この方法は有効でした。
ただ、止水栓が付いていない所もあります。
実は私の勤める有料老人ホームには付いていません。
ですのでたびたび排水管が詰まるトラブルが起きており、そのたびに水道トラブルの業者に来てもらっています(^-^;
③トイレにゴミ箱を設置する
私の勤める有料老人ホームのトイレには止水栓が付いておらず、そのためたびたびパッドを便器に流しては排水管が詰まるトラブルを起こしている利用者様がおられます。
その方は、失禁後の尿取りパッドを床に捨てている時もあれば、便器内に捨てている時もあります。
試しにゴミ箱を設置してみました。
そうするとなんと、そのゴミ箱に失禁パッドを捨てて下さるようになりました。
おかげで便器内におむつを捨てられる回数は減りました。
でもやっぱり、便器内に捨てている時もあるにはあるんですよねぇ…
お婆ちゃんあるあるかもしれませんが、トイレにゴミ箱を置くと、拭いた後のトイレットペーパーを、便器内ではなくゴミ箱に捨てる方がおられます。
今のような水に溶けるトイレットペーパーが発売される前は、拭いた後の紙はそうやって捨てていたそうです。
④尿取りパッドは使わない
尿取りパッドを毎回外してしまわれる方に、思いついたのが紙パンツ1枚での対応でした。
そもそも尿取りパッドを使わなければ、捨てられる心配もありません。
失禁量が多い方には、大容量の紙パンツをお勧めします。
大王製紙アテント 夜1枚安心パンツ
なんと8回分、1200ml吸収の紙パンツです。吸収量1リットル超え。
ただし、紙パンツを脱いでトイレに捨ててしまう方も、いないとも限りません…。
⑤おむつは布製品にする
紙パンツですら脱いでトイレに捨ててしまう方には、この対応です。
上で紹介した、尿取りパッドを便器内で洗ってしまわれる方の場合は、その後紙パンツも便器内に入れてしまわれました。
上の方は「洗おう」とされていましたが、認知症の人は「紙の物は溶ける、流せる」という図式がもしかすると頭の中にあるのかもしれず、布であれば安易に破かれないかも、便器内に入れる事もないかもしれない、と思い、試したのが安心パンツでした。
安心パンツ(軽失禁用布パンツ)
布の軽失禁パンツのデメリットは、
- 吸収量が紙パンツほどでは無い
- 洗い替え用に何枚も必要(一般的に単価1000円以上はする)
- 日に何度も交換、洗濯した場合、梅雨時は全然乾かないので焦る
事です。
1.の場合はニシキの300cc吸収の物が恐らく最大だと思われます↓
ニシキ デラックス安心ブリーフ 300
触ってみるとものすごく分厚いパンツです。
300mlも尿を吸収した場合、そのまま洗濯機に入れると臭いが移ってしまいますので、一旦手洗いが必要です。
⑥トイレを封じ、代わりにポータブルトイレを使用してもらう
もうトイレ自体を隠す、使わせないという方法です。
- トイレの扉に「故障中」と書いた紙を貼る
- それでも心配なら鍵をかける
- 釘でドアを封じてしまう
と言う方法でトイレへの侵入を防ぎ、更にその上で
4.トイレの横に、ポータブルトイレを置く
のです。
ポータブルトイレの中は単純なバケツですので、排水管にパッドが詰まる心配もありません。
ポータブルトイレをトイレと認識してもらえるかどうかがカギですが、そこが上手くいけば、しめたものです。
ポータブルトイレを使用するとなると、都度バケツ内の排泄物を廃棄する必要がありますが、トイレを封じている場合はそれが困難です。
そこで中身を水ではなく、災害時に使うような、水を使わないトイレ方式にすると後片付けも楽に行えます。
①バケツにビニール袋をかぶせ、中に新聞紙を敷き詰め、上にティッシュもしくは尿取りパッドを敷く
もしくは、
②バケツにビニール袋をかぶせたら、あとはペット用のフラットシーツや大人用おむつのフラットを敷く
それだけでも十分です。
あとはビニールの口をしっかり結んで捨てるだけで、掃除は要りません。
排泄物をトイレに流して洗浄するという援助は割と手間がかかりストレスなので、出来る限り簡単で手間のかからない方法を選びましょう。
カミ商事/いちばんフラットタイプ
3.未来のトイレはおむつを流せるかも?
今から1年前の2019年1月の朝日新聞の記事です。
使用済みの紙おむつを下水道に流して処理できないか――。下水道を担当する国土交通省が本気で検討中だ。トイレとは別の下水につながる専用装置を設置する。一部は、早ければ再来年度にも実用化する方針だが、プラスチックごみの海洋汚染が世界的な問題になるなど課題も多い。実現可能か?
引用 紙おむつ、下水道に流して処理できるには?国交省が3案:朝日新聞デジタル
※記事の中にある「2016年の報告書」はおそらくこちら→https://www.mlit.go.jp/common/001194302.pdf
うそみたいな記事ですが、読んでみるとえ、出来るの?本気で検討中なの?と少し期待してしまいます。
確かに、おむつをトイレに流せれば、ごみ捨ての手間が省けますね。
ゴミ捨て場の臭い問題も解消します。
この記事の中で、ある社会福祉法人の担当者さんは
運営する特別養護老人ホームの場合、1日当たりの紙おむつは利用者20人ほどで多いときが90リットル3袋分。汚物が付くことで重くなり、運ぶには体力的な負担が大きいという。「臭いや衛生面でも改善が見込める」とも話す。
在宅でも、寝たきりの方を1人を介護していても、1日に6~8回おむつ交換したとして、そこに便も含まれていれば、けっこうな量と臭いになります。
臭いがこもらないように新聞紙で包んだり、便だけはトイレに流すようにしていても、泥状便だと難しい。
捨てに行くのも、ずっしりと重たいですし、ヘルパーや家族の負担は大きいです。
おむつを下水に流す…実現したらいいなー
4.結論
介護現場にはたびたびトイレにおむつを流してしまう方がおられます。
対策として6パターンご紹介しました。
他にもこんな対応したよ、という経験談があれば教えて下さい。
今回は以上です(/・ω・)/
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