介護現場で尿取りパッドじゃなくて生理用ナプキン使ってる人がいる…
大きさもぴったりだし、良いと思うんだけど…何かいけないの?
さて、生理用ナプキンと、尿取りパッド。
似たような形をしていますが、何か違いがあるのでしょうか?
今回は生理用ナプキンと尿取りパッドの違いについて、調べてみました。
1.生理用ナプキンは、尿取りパッドの代わりになるのか
ちょいモレを経験した事はありますか。
あるという人は、一体そのチョイモレを、どう解決しますか?
- 日に何度もトイレに行く
- とりあえずパンツを2枚以上穿く
- 紙パンツや尿取りパッド、軽失禁ライナーをネットで購入する
- 生理用ナプキンで代用する
- 泌尿器科へ行って先生に相談する
- ネットで知った骨盤底筋体操を試してみる
…これ以外にもまだあるかもしれません。
施設介護をしているとあまり聞かない事ですが、在宅や一般の方の中には、
「生理用ナプキンで代用する」方が意外と少なくないそうです。
この理由について、聞いた話では
①どんな形(パッド・紙パンツ)であれ、おむつを買うのは恥ずかしい
②生理用ナプキンの方が身近で買いやすい
③生理用ナプキンで事足りると思っている
…などの思いがあるようです。
①の感情はわからないでもないね。②もわかる。
問題は③やね。実際のところどうなんやろか?
生理用ナプキンにちょいモレしても大丈夫なのかどうかを、漫画にしてみました↓
1.漫画:生理用ナプキンに排尿すると
まとめると、
- ほんのちょっとのモレ程度なら何とか吸収できる
- しかし生理用ナプキンは「どろっとした血液」を吸収するのに特化した吸収体なので、「さらさらとした水のような排尿」を吸収して固めるのには不向き
- ちょっとしたモレ程度なら何とか吸収しても、逆戻りをして皮膚にべちゃっと付く
- その上に座ると体圧で尿が吸収体からあふれ出し、衣類にしみてモレる
- アンモニア臭を抑える機能が付いていないので、臭いが周りにモレる
という感じです。
そうです、生理用ナプキンで代用はできません。
ではなぜ、代用出来ないのでしょうか?
2.実験:生理用ナプキンと尿取りパッドの比較
なぜ生理用ナプキンでは尿を吸収しないのでしょうか。
尿取りパッドと生理用ナプキンを使った実験をしてみました↓
中身を触った感触でも、尿取りパッドの方は明らかにザラザラしていてポリマーが含まれている感じがしました。
漫画の続きですが…
生理用ナプキンに水分を含ませても、尿取りパッドほどの吸収力はありませんでした。
見た目も中身も似ているのに、なぜでしょうか。
3.仮説:含まれているポリマーの量が違うのではないか?
では生理用ナプキンにはポリマーはどの程度含まれているのでしょう?
残念ながら、生理用ナプキンの包装紙を見ても表面材しか記載がないので量に関してはわかりません↓
尿取りパッドの方には吸収剤の記載はありますが、量までは分かりません ↓
なんで生理用ナプキンも、尿取りパッドも、肝心のポリマーの量を教えてくれないんだろう??
4.ポリマーの量は企業秘密
知り合いのおむつメーカーのコンシェルジュに聞いたところ、
「ポリマーの量に関しては企業秘密なのでどこのメーカーも公にしてないと思うよ」
との事でした。
なんだよそうなのかー…
そうなると仮説が正しいのかどうか、立証できないね
しかし上記実験漫画では、ざらざらと塩っぽいものが手に残る尿取りパッドの中身と、ふわふわしている生理用ナプキンの中身では、明らかにポリマーの量に違いはありそうです。
では改めてポリマーの事を掘り下げてみましょう。
ポリマーとは、この塩のような物の事です↓ (高分子吸水材とも言います)
●ポリマー:日衛連
引用 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 | 紙おむつ・軽失禁
あ、花王さんのサイトでもっとわかりやすい写真を見つけました↓
●ポリマー:花王
尿取りパッドにも生理用ナプキンにも、このポリマーが含まれています。
だからどちらも水分や血液を吸収する事が出来るのです(ドロッとした塊は不向き)
5.ポリマー不使用の生理用ナプキン
しかし最近は、「ノンポリマー」を謳う生理用ナプキンも出てきているようです。
●ナチュラルムーン:生理用ナプキン
説明に
高分子吸収材不使用:
水分を吸収してジェル状に固める高分子吸収材ではなく、吸収力の良いふかふかの綿状パルプを使用しています。高分子吸収剤は熱の冷却シートなどにも使われており、ジェルが吸熱作用を持つため、冷たさを感じる方もいらっしゃるようです。
と書いてあります。
高分子吸収材、つまりポリマーは、水分を吸収すると冷たいジェル状になるから、体を冷やすっていう事なのね…
他にも探せば「高分子吸収体不使用」を謳う生理用ナプキンが続々見つかりました。
●大三株式会社:オーガニックコットンナプキン
引用 ナプキン | 大三株式会社-衛生材料、衛生用品、化粧品、化粧綿、家庭日用品の製造及び販売
え…「ノンポリマー仕様となっておりますので、多い日や就寝時には横モレなどにご注意ください」って書いてあるよ…?
つまりノンポリマーは吸収力に難があるって事かな…
ちなみに綿状パルプは尿取りパッドにも使用されています↓
引用元 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 | 紙おむつ・軽失禁
6.排尿1回分>生理期間1回分
そもそも生理の時に出る血液の量ってどれくらい?
尿取りパッドの場合は
「1回分」「夜用4回分」
など尿吸収量が書いてあります。そしてその1回分は150mlと決められています。
生理用ナプキンには
「多い日の昼用」「夜用」「21㎝」「40㎝」
などという記載でしか量を推し量る事はできません。
●ユニ・チャームのサイト:経血量
ユニ・チャームのサイトでは、
生理の日数は3~7日程度、
その間に出る経血量は、トータルで20~140ml
と書いてありました。
ちなみに正常とされる生理の日数は3~7日程度。1回の経血量は20~140mlといわれています。この数値からわかるように、経血量はとても個人差があるもの。そのときのホルモンの状態によっても大きく異なるから、あまり神経質にならないように。
引用 私の経血量は正常?経血で分かる体の変化とは-生理用品のソフィ
余談やけど…ユニ・チャームは元々は生理用ナプキンから始まったメーカーらしいで
●オムロンのサイト:経血量
オムロンのサイトには、
生理の日数は3~7日程度、
その間に出る経血量はトータルで50~120ml
と記載されています(´・ω・`)
正常な月経の目安は
月経周期日数:正常範囲は25〜38日
出血持続日数:3〜7日
経血量:50〜120cc(個人差があります)
閉経年齢:平均50.5歳(およそ40代半ば〜56歳ぐらいまでが一般的)
この範囲内であれば、問題はありません。
引用 生理中の出血の日数や、出血量の目安はありますか? | オムロン式美人
つまり、
排尿1回分で150ml > 生理3~7日合わせて20~140ml(個人差あり)
さらに言えば
排尿1回分 > 生理期間1回分
という事ですね。
生理期間中は尿取りパッド1回分をずっと付けっぱなしていても事足りると言う事やな
せえへんけどな。
一番多い日の夜ですら、100ml超えないのかもしれません。
そうなると、ポリマー不使用でも生理用ナプキンが成立するのは、わかる気がします。
2.結論:生理用ナプキンは尿取りパッドの代わりにはならない
生理用ナプキンに含まれるポリマーの量は、尿取りパッドに含まれるポリマーの量に比べて少ない、という仮説は、一般的な一回の経血量と1回分の排尿量を比べる事で、「少ない」という結論に達しました。
今回は経血の量(cc)だけで話を進めましたが、経血と尿では「どろり」としている血と「さらさらな水のような」尿では質も違います。
ナプキンやパッドへの吸収の仕方も、経血と尿では違うのです。
つまりそれぞれに合わせた吸収のさせ方を考えて作られており、含まれるポリマー量以外にも、構造が違うのです。
餅は餅屋って言うもんね。
尿は尿取りパッド、経血は生理用ナプキン、おりものはおりものシートを使った方が良いって事だね。
それぞれ用途に合った物を購入しよう
ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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