パタカラ体操始めますよ~
えー。いいよあたしゃ。それ何か意味あんのかね?
えー!?ありますよー!!
パタカラ体操は、言わずと知れた口腔嚥下体操です。
でも、パとタとカとラには、どんな意味があるのでしょう?
また、ゆっくり言えば良いのか、早口が良いのか、発声さえすれば良いのか、やり方に決まりはあるのでしょうか?
今回は、パタカラ体操の意味と、やり方を知りたい方におすすめの記事を書きました。
私は以前老健に勤めていて、毎朝体操を任されていたのですが、このパタカラ体操の意味が知りたくて、自分なりに調べて、利用者さん達に教えていました。
1.パとタとカとラそれぞれが意味するもの
パとタとカとラには、当然ながらそれぞれに意味があります。
私はそれを調べて、漫画にした事があります。
利用者さん達にはこういう言い方で教えていました↓
正直この漫画だけでも良いのですが、しつこくそれぞれ紐解いてみましょう↓
1-①パ行は唇の筋肉
「パ」と言うと、唇の上下が触れると思います。
パ行は唇の筋力を鍛えるのに使えます。
パ行が上手く言えない人は、いつも口が開いていて、表情がだらしなくなります。
ご飯を食べていて、食べこぼしの多い人です。食事用エプロンが必要になります。
1-②タ行は舌の筋肉
「タ」と言うと、舌と上顎が触れると思います。
タ行は舌の筋力を鍛えるのに使えます。
歯で噛んだ食べ物を、舌は更に上顎に押し付けて押し潰して小さくする役割があります。
小さくしないと飲み込めません。
大きいまま喉元に食べ物を運んでしまうと、窒息してしまいます。
タ行が上手く言えない人は、なかなか飲み込めず、ずっと口の中でクチャクチャしています。
舌足らずという言葉もありますが、言葉が相手に上手く聞き取れず、コミュニーケーションが取りづらくなります。
1-③カ行は喉の手前の筋肉
「カ」と言うと、舌の奥と喉の手前が触れると思います。
カ行は喉の手前の筋力を鍛えるのに使えます。
カ行が上手く言えないと、食べ物を口の中で保持したり、喉の奥に送り込む事が難しくなります。
むせた時に上手く排痰できなかったり、上手く飲み込めずにタイミングを失敗して、誤嚥しやすくなります。
1-④ラ行は舌の先端の筋肉
「ラ」と言ってみて下さい。「タ」と似ていますが、「タ」よりも舌の先端を使っていると思います。
ラ行は舌の先端の筋力を鍛えるのに使えます。
食べ物を口の中へ送り込むための筋力です。
50音の中でも特に舌を動かす音なので、「タ行」と同じく、会話に大事な滑舌にも深く関わります。
ラ行が上手く言えない人は、食べ物を口の中で動かして、喉元まで運ぶ事ができません。
滑舌も悪い為、自分の言いたい事が相手に伝わりません。
2.パとタとカとラそれぞれの鍛え方
パタカラパタカラパタカラ…と言うのも良し、
パパパパパ タタタタタ カカカカカ ラララララ…とアレンジしてもOKです。
パタカラ体操を現場でしていると、口先だけで、ぽそぽそと読む方も方も多いのです。
それでは意味がありません。形だけしている風を装っても、効果はありません。
私はその都度「口をしっかり開けてー!」と促して、一緒に読むようにしていました。
意味をわかって、しっかり唇と舌の筋肉を意識して行った方が、効果が出ます。
「パタカラ」をセットにして鍛えるのも良いですが、
今度はパとタとカとラを、それぞれ単独で鍛える方法を調べてみました↓
2-①パ行:パンダの宝物
楽しい鍛え方としては、口腔体操で有名な「パンダの宝物」を読むと良いと思います!↓
パンダの宝物は パパパンダから貰ったラッパ
歩いてパタパタ 鳴らしてパラパラ
高かったラッパで 財布の中は空っぽ
2ー②タ行:早口ではなく、しっかりと音を出す事を意識する
タ行が多く使われている言葉としては↓
・この竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったから 竹立てかけたのです
・たいへん達者な足袋屋さん 太鼓の代わりにたらいをタンタン たたいて啖呵きる
言葉で探すとどうしても早口言葉ばかり見つかるので、趣旨がズレるように感じられるかもしれませんが…^_^;
北原白秋の「五十音」にはこういうのもあります↓
・立ちましょ、ラッパで タチツテト
・トテトテタッタと 飛び立った
これらを早口ではなく、しっかりと音を出す事に意識を向けてゆっくり何度も発声する事がポイントです。
かといって舌にあまり力を入れ過ぎてもダメなようです。難しいですね。
2-③カ行:うがいの練習、呼気圧を高める
カ行を鍛えるにはうがいの練習をすると良いと聞いた事がありますが、
高齢者の場合はむせてしまう場合もあるので、気をつけましょう。
様々なサイト(発声法のサイトや滑舌に悩む相談サイトなど)を見ていると
「カ行」は呼気圧という息を出す力が足りない為と言われ、
呼気圧を高める練習法として、「ん~か」を繰り返す事が挙げられています。
カ行が多く使われている言葉としては
・かかとがひっかかる
・東京特許許可局
・隣の客はよく柿食う客だ
北原白秋の「五十音」にはこういうのもあります↓
・柿の木、栗の木 カキクケコ
・キツツキ こつこつ 枯れけやき
繰り返しますが、これを早口ではなく、しっかりと音を出す事に意識を向けて、ゆっくり何度も発声する事がポイントです。
2-④ラ行:滑舌を鍛える
様々なサイト(発声法のサイトや滑舌に悩む相談サイトなど)を見ていると、
あっかんべーをして10秒キープする
などが見つかりました。
そういえば滑舌を良くする体操として
舌をべーっと出し、口の周りを何周かする、
というのも昔テレビで見た事があります。
「滑舌 体操」で検索すると、ラ行を鍛えるのに良い運動がヒットしそうです。
ラ行が多く使われている言葉としては↓
・ラバかロバかロバかラバか分からないので ラバとロバを比べたらロバかラバか分からなかった
北原白秋の「五十音」にはこういうのもあります↓
・雷鳥 寒かろ らりるれろ
・れんげが咲いたら 瑠璃の鳥
あ、僕も思いついたー。聞いて聞いて
どんなんだい?
落語家が美辞麗句を羅列している
うーん。イマイチだね…
3.話すという行為が大切
さてここまでパタカラの意味とか鍛え方の話をしてきましたが…
私の好きな漫画家に、益田ミリさんという方がおられます。
益田さんの作品に「わたしを支えるもの すーちゃんの人生」という漫画があるのですが、
このシーンにドキッとしました↓
引用 幻冬舎「わたしを支えるもの すーちゃんの人生」益田ミリ
主人公の友達のさわ子さんが、傾聴ボランティアとして初めて老人ホームに行った時の場面です。
さわ子さんは、老人ホームの方からこう言われます。
「利用者さんにとっては『話す』という行為が大切なんです」
「口を動かす運動にもなりますし」
「それによって口の筋肉だって鍛えられるし 食事にもいいんです」
これを読んだ時は、ああ、そうだなぁ…と思いました。
お年寄りは、喋る機会が圧倒的に少ない。
さわ子さんに傾聴ボランティアをすすめた、看護師さんのセリフにもドキッとしました↓
「お隣のベッドの若田さんと時々お話してたでしょう?(さわ子さんと)たくさん話した日は食欲も出て。やっぱり人と話すと体力も使うしおなかもへるのね」
「でもそれだけじゃないと思うんです。話を聴いてもらうって誰だってうれしいものです」
「わたしたちもできるだけ声はかけるようにしてるんですけど なかなか時間的にも難しくて…」
わかる…!!
本当なら、傾聴ボランティアさんに頼らずに、私が聞いてあげたい。
でも、時間がない…。
利用者さんにとって、話をじっくり聴いてもらうのは嬉しいし、
たくさん喋れば体力も使ってお腹が減るし、食欲が増す…
良い事ずくめですね。
これを読むたびに「明日職場に行ったら、たくさん話しかけよう」と思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
パタカラにはそれぞれに意味があります。
どこの筋肉とか、衰えるとどんな弊害があるかとか、
知っておくとより体操を真剣に行えますし、人にも教える事が出来ます。
そして何より、たくさん喋る事は、心にも身体にも良いのです。
明日からも意識して、会話をしていきましょう!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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