【介護】ティルトリクライニング式車いすで褥瘡を作らない方法

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車いすだと身体が傾いてしんどそうだった利用者さん、

今度からティルトリクライニング式の車いすを使う事になったよ

褥瘡できやすいから気を付けてね。

え?なんで?

背中とか接地面積は増えるし、圧を分散できて褥瘡は出来にくくなるんじゃないの?

ティルトリクライニング式車いすを使っていても、褥瘡って出来るんですよね。

今回は、ティルトリクライニング式車いすで褥瘡を作らない方法について、書いていきます。

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【漫画】安楽な姿勢・北欧のある施設の話

以前私が特養で介護士をしていた時に、福祉用具の研修を受けた事があります。

その時に講師の先生に聞いた話がとてもステキで、いつか漫画にしたいなぁと思っていました。

去年それをようやく描く事が出来ました。↓

【漫画】安楽な姿勢のはなし

【漫画】北欧のある施設の話

圧抜きをする

上の漫画では理事長がポケットからグローブを取り出して、背中から足先までの圧抜きを、丁寧に喋りながら行っていましたね。

私はラックヘルスケアのマルチグローブを使っています↓

パソコンで「介護 シート グローブ」と検索すると色々出てきます↓

この中にあるピンク色のグローブはCAPE(ケープ)というメーカーの物ですが、このメーカーのホームページでは、写真やイラスト、動画で使い方を教えてくれているので、「圧抜きの仕方」の勉強にお勧めですよ↓

ポジショニングに

引用 ケープ介助グローブ

でもこういう物を買わないでも、

家にあるごみ袋でも十分活用できますよ

ただし、柔らか過ぎると破れやすいので、ある程度の強度は必要です。

また、コンビニ袋のような小さいサイズですと身体の下を通すには長さが足りず、自分の腕で摩擦が生じてしまい、上手く圧抜きが行えません。

やはり圧抜き用に1枚、専用のシートを購入してもいいかもしれません。

安楽な角度を知る

上の漫画にもありますが、たとえ安楽な姿勢でも、長くは保てません。

ティルトリクライニング式車いすに座っていて一番安楽な姿勢ってどの角度なんだろう?という事に興味がありましたので、調べてみました。

論文「車椅子座位におけるティルト・リクライニングが殿部圧迫力および 剪断力に与える影響」

殿部の外力を軽減するうえで、圧迫力軽減を目的とする場合はリクライニング傾斜を行い、剪断力軽減を目的とする場合は10°のティルト傾斜を行うといった外力軽減のそれぞれの設定が推奨される。

引用 「車椅子座位におけるティルト・リクライニングが殿部圧迫力および 剪断力に与える影響」

お尻への圧を軽減させるにはリクライニング機能を使い、

剪断力を軽減させたいならティルトを10度傾けると良い

のね。

 

さて↓ここから下の結論まではただの論文のまとめですので

飛ばして頂いて大丈夫です(/・ω・)/

私が整理したいだけのメモです。

論文:序章

・褥瘡の危険因子として、圧力、剪断力、温度、湿度が報告されている。

あと低栄養と不潔ね

・褥瘡予防の観点から、圧力や剪断力といった外力軽減のために車椅子座位に介入を行う必要がある。

ちなみに剪断力の絵↓

褥瘡(じょくそう)管理に必須の「摩擦」と「ずれ」の考え方 :Part4 ...

引用 アルメディアWEB「褥瘡管理に必須の摩擦とズレの考え方」

 

・車椅子座位において圧迫力が虚血をもたらすことで細胞の酸素や栄養が奪われ褥瘡が生じる。

・車椅子のリクライニング角度、ティルト角度、フットサポート高、アームサポート高などの

設定の変更により、殿部への圧力が軽減することが報告されている。

・車椅子座位姿勢に生じる剪断力の軽減が着目されるが、車椅子のティルトやリクライニング角度変化による圧力の変化を検証した報告が多く、それらが殿部剪断力に及ぼす影響を定量的に評価したものはない。

・本研究の目的→車椅子座位におけるティルトおよびリクライニングの角度変化から殿部に生じる圧迫力および剪断力による影響を検証

論文:測定方法

・測定条件は,重度障害者における車椅子角度の使用頻度に準じて6つの角度でそれぞれ5分間の座位保持を行う。

  1. リクライニング0°ティルト0°(r0t0条件)
  2. リクライニング10°(r10条件)
  3. リクライニング20°(r20条件)
  4. リクライニング30°(r30条件)
  5. ティルト10°(t10条件)
  6. ティルト20°(t20条件)
論文:結果

圧迫力において

  1. リクライニング0°ティルト0°(r0t0条件)→85.0±5.1%BW
  2. リクライニング10°(r10条件)→81.3±4.5%BW
  3. リクライニング20°(r20条件)→75.9±4.7%BW
  4. リクライニング30°(r30条件)→71.1±5.0%BW
  5. ティルト10°(t10条件)→84.0±5.1%BW
  6. ティルト20°(t20条件)→79.2±5.4%BW

・多重比較の結果、r0t0条件に対して r10条件、r20条件、r30条件、t20条件は、有意な低下を認めた。

・r10条件、r20条件、r30条件においては、リクライニング角度増加に伴い圧迫力の有意な低下が認められた。

まぁそりゃリクライニング角度が増加すれば、臀部への圧は低下するわな…腰は痛そうだけど。

・また r20条件、r30条件は、t20条件と比較して有意な低下を認めた

ん?ティルトを20度傾斜させている状態に比べて、リクライニングを20~30度傾斜させている方が圧が低下したのか…

剪断力において

  1. リクライニング0°ティルト0°(r0t0条件)→-10.5±2.1% BW
  2. リクライニング10°(r10条件)→-13.9±1.7% BW
  3. リクライニング20°(r20条件)→-15.4±1.7% BW
  4. リクライニング30°(r30条件)→-15.8±1.5% BW
  5. ティルト10°(t10条件)→-1.9±2.9% BW
  6. ティルト20°(t20条件)→10.2±3.3% BW

・r10条件、r20条件、r30条件は、0条件と比較して前方剪断力の有意な増加を認めた。

リクライニング角度が増えると前方への剪断力も増すのね

・t10条件、t20条件は、r0t0条件と比較して前方剪断力の有意な低下を認めた。

逆にティルト角度が増すと、前方剪断力は減るのね

そらそうか、足が上がったら前に進まない。

・t20条件は、t10条件と比較して有意な後方剪断力の増加を認めた

ティルト角度が上がるごとに後方への剪断力が増すのね

論文:考察

・車椅子座位におけるティルトおよびリクライニング角度の変化が殿部に生じる圧迫力および剪断力に及ぼす影響を検証した

・安楽座位をとる際は背面傾斜に伴い骨盤後傾位となり、殿部や大腿部へ加わる力を背面へ分散するとされる。

・背面への接触は身体を前方に押す反力を生み、殿部の前方剪断力を発生するとされる。ゆえに r0t0条件では,前方への剪断力が生じた。

・リクライニング条件では背面傾斜に伴い骨盤後傾が誘発され,前方剪断力の増加を認めたと考察する。この結果は,殿部外力の軽減を目的に介入する際に、必ずしもリクライニングが有効ではないと示す重要な点である。

体幹の筋力のない人が90度の車いすに座らせられる事に比べれば、背を倒せるリクライニングの方がまだマシに思えるけど、ただ背を倒すだけだと骨盤は後傾して仙骨座りになって、前方への剪断力が増して皮膚が引っ張られてしまうよね。

・ティルトによる座面傾斜は、殿部や大腿部を後方へと滑らせる力を生じる。

・t10条件においては、背面からの前方への反力座面傾斜による後方への滑りの力を生じ、双方の力の大きさがほぼ等しい値であったため,結果的に殿部に生じる剪断力を軽減したと考察する。

ティルト0度だと前方剪断力が、ティルト20度だと後方剪断力が増す。

その中間のティルト10度がちょうど良いバランスなのね。

・この結果は、車椅子座位における剪断力軽減を目的としたシーティングを行ううえでティルト10°は重要な介入であると考えられる。

・殿部の外力を軽減するうえで、圧迫力軽減を目的とする場合はリクライニング傾斜を行い、剪断力軽減を目的とする場合は10°のティルト傾斜を行うといった外力軽減のそれぞれの設定が推奨される。これらの介入は背面に圧を分散し,背面から臀部に伝わる剪断力を軽減している

・リクライニング傾斜角度の増大は、圧迫力の軽減を示す一方で剪断力の増加がみられた。

・ティルトはリクライニングに比較して圧迫力軽減の影響は小さいものであったが、剪断力に影響
を及ぼしティルト10°において殿部に生じる剪断力の軽減効果が最も大きかった。

じゃあ、いつ誰が除圧を行うのか

効果的な角度はわかった。

リクライニングやティルトを効果的に使って、圧を分散させて、褥瘡が出来ないようにしていかないといけない事も、十分わかってる。

じゃあ、誰がいつすんねん、それを。

そう、現場では結局これが問題になるんですよね。

誰がいつするのか。

気付いた人がすれば良いのか。

気付く人がその日誰も居なかったらどうなるのか。

30分おきにとか、早出の職員がするとか、ルール化してしまえば良いのか。

そもそもそんな細かい事が出来るのか。

→出来ない。

だからこそ、冒頭で紹介した漫画のような施設が心底羨ましいし、理想なんですよね。

通りすがりの人が全員彼に目を留めて、何かしら話しかけて、話しかけながら角度を変えたり場所を変えたり除圧を行っていくのを、自然に出来ている事が。

結論

今回はティルトリクライニング式車いすで褥瘡を作らない方法を書きました。

方法と言っても前半は理想の施設を漫画で紹介して、後半は効果的なティルトの角度について調べただけなので、期待外れの記事だったかもしれません(すみません)。

介護はチームで行う物ですので、褥瘡の出来る条件やシーティングの知識を持つ職員さんが職場に一人しかいなかったら意味がありませんし、職場の皆が出来ている中で一人だけ出来ていなかったらそこで(皆で繋いできた良いケア)はストップし、一気に褥瘡が出来てしまいます。

年齢層も経験も知識も技術も意欲もバラバラな人達が働いている介護現場において、皆が同じケアを行う事の難しさは私も痛感しておりますが、せめてこういう施設が北欧にはあるらしいよと目指す目標として皆に教えていきたいです。

 

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

 

 

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